1歳の子供が居います。
「私が赤ちゃんの頃に熱性けいれんを起こした話」を母から聞いているのですが、実際に赤ちゃんに熱性けいれんが起きたら対応できるのか不安になっています。
こんにちわ。sekaiinaです。
実際に我が子に熱性けいれんが起こったらと思うと怖いですよね。
薬剤師の私もそうでした。
しっかり対応を知っていれば、母親のあなたならで大丈夫です。
小さい子のママなら「熱性けいれんって怖いな」とか「起きたらどうしよう」と考えたことがあるのではないでしょうか?
今回の記事では熱性けいれんが起きたときの対応をお伝えし、解熱剤の使い方や熱性けいれんの既往がある子に注意すべき薬剤まで深掘りして紹介しようと思います。
熱性けいれんとは?
通常は38℃以上の発熱に伴う発作性疾患(けいれん性、非けいれん性を含む)で、
熱が急に上がる際に起こることが多く、発熱の初日がほとんどです。
発熱が数日続いても熱性けいれんを1回の発熱で繰り返す頻度は低く約15%です。
主に生後6〜60か月(5歳)までの乳幼児に起こります。
6歳前後でほとんど起こさなくなり経過は良好です。
日本では小児の3~8%にみられ、
初めて熱性けいれんを経験する年齢は80%が3歳まででピークは1歳代です。
原因は不明ですが、小児では「発熱」「嘔吐」「下痢」などに伴って
脳内の神経細胞である興奮性ニューロンと抑制系ニューロンのバランスが崩れてけいれんが起こりやすくなるようです。
熱性けいれんを再び起こす率は約30%です。
そのうち20~30%が3回目の熱性けいれんを起こします。
けいれんの様子
けいれんの様子は「白目をむき」「体や手足を突っ張ったり」「ガクンガクンとけいれんをさせます」が、ほとんどは数分以内でおさまります。
熱性けいれんでは直接生命へのリスクはありません。
できるだけ慌てずに対処してください。
- 衣服を緩め、周囲の危険物を取り除きます。
- 頭を体よりやや低くし、全身を横に向けます。
- 窒息したり口の中を傷つけることあるので、歯を食いしばっているときでも口の中に物を入れないでください。
可能な限り観察をしてください
熱性けいれんが起きた時、可能な限り観察をすることで医師の診察の助けになります。
- けいれんが何分続いているのか?
- けいれんは左右対象か?
- 体温は?
緊急外来の利用や救急車を呼ぶなど緊急に受診する目安
- けいれんが5分以上続く
- 短時間にけいれんを繰り返す
- けいれん後に意識が戻らない
- 6カ月未満の乳児の場合
深夜に熱性けいれんが起きた場合、上記以外で
発作が治まって意識がしっかり回復するようなら
緊急外来ではなく翌朝の受診で大丈夫です。
「ダイアップ®坐剤」は「熱性けいれんを予防するお薬」なので
1回目の予防投与をしていない状態で、熱性けいれんが起きたからといってけいれん後の投与はしないでください。
眠気で髄膜炎や急性脳症の症状が隠されてしまう可能性があります。
もしも2回目の発作が発生したら救急車を呼びましょう。
熱性けいれん再発の予防法
発熱時に「ダイアップ®坐剤」(抗けいれん剤)は必要?
熱性けいれんを再発する可能性がある場合には、
発熱時に「ダイアップ®坐剤」(抗けいれん剤)を予防的に使用する場合がありますが、
「ダイアップ®坐剤」で熱性けいれんを予防する必要があるのは一部のお子さんだけです。
自然放置が望ましい場合
過去の熱性けいれんが2回以下でかつ以下のすべてに要注意因子ⅰ〜ⅵが陰性の場合は、
熱性けいれんの再発に関しては無処置のまま経過を観察することが望ましい。
発熱時に「ダイアップ®坐剤」(抗けいれん剤)投与が望ましい場合
「ダイアップ®坐剤」(抗けいれん剤)の熱性けいれんの再発予防の有効性は高いです。
副作用としては一過性の軽度のふらつき,興奮,嗜眠などがみられます。稀に重大なものとして呼吸抑制があります。
「ダイアップ®坐剤」(抗けいれん剤)の熱性けいれんの予防効果は高いですが、ふらふらして転んでしまったり、眠りがちになるなど子供への負担もあります。
適応ではないのにママが不安だから処方をお願いするのはダメです。
以下の適応基準①または②を満たす場合に使用する
①15分から20分以上続く発作が過去に1回でもあった場合
②次のⅰ〜ⅵのうち二つ以上を満たした熱性けいれんんが二回以上反復した場合
- ⅰ.焦点発作(部分発作)または24時間以内の繰り返す。
- ⅱ.熱性けいれん発症前より存在する神経学的異常もしくは発達遅延
- ⅲ.熱性けいれんやてんかんの家族歴
- ⅳ.1歳未満の熱性けいれん発症
- ⅴ.発熱後1時間未満での発作
- ⅵ.38℃未満での発作
「ダイアップ®坐剤」(抗けいれん剤)の使い方
初回投与後8時間後になお発熱が持続するときは同量を追加すると、
初回投与から24時間有効です。
熱性けいれんが起こるのは発熱の初日がほとんどです。
発熱が数日続いても熱性けいれんを繰り返す頻度は低く
2回投与で終了とするのが一般的です。
アルミホイル等で包んで遮光し、湿気の少ない涼しい場所(1~30℃)に保管してください。 冷蔵庫に保管しても差し支えありません。
熱性けいれんの再発に解熱剤は無効?
発熱時の解熱薬使用が「熱性けいれんの再発を予防できる」という根拠はなく
「熱性けいれんの再発予防のため」の使用は推奨されない。
また解熱剤使用後の熱の再上昇による熱性けいれん再発の根拠もない。
簡潔にまとめてみると、
解熱剤は熱性けいれんの再発予防にはならないが、
熱性けいれんを誘発することはなく安心して使えるという事ですね。
解熱剤を使う場合
子供が高熱でぐったりしていて元気がないので、
解熱薬を使ったのですが「熱が下がらない」です。
どうしたらいいですか?
高熱が出ている時は解熱薬を使ったとしても平熱(37.5℃以下)には
なかなか戻りません。
平熱に戻すためではなく、1〜2℃くらいは下がるかと思いますので
熱でぐったりとして元気がない状態を少しでも和らげるために使ってください。
「ダイアップ®坐剤」(抗けいれん剤)と「アンヒバ®坐剤」(解熱剤)を併用する場合
使用法
「アンヒバ®坐剤」(解熱剤)を使って下さい。
理由を補足
ダイアップ®坐剤の成分「ジアゼパム」は「油に溶ける性質」を持っています。
一方、アンヒバ®坐剤の基剤(薬の成分を溶かし込んでいる部分)には
「油脂性基剤」が使われています。
アンヒバ®坐剤を同時または先に使うと、その基剤に「ジアゼパム」が溶け込んでしまうため、「ジアゼパム」の吸収が妨げられ効果が現れるまでに2~4倍の時間がかかってしまったり、場合によっては効果が現れなかったりするおそれがあります。
なお、効果が現れるまでの時間は、ダイアップ®坐剤、アンヒバ®坐剤ともに約30分です。
熱性けいれんの既往のある小児で注意するべき薬剤
ポララミン®︎、ペリアクチン®︎(特に第一世代の抗ヒスタミン薬)
鼻水の原因を抑えるためにアレルギー性鼻炎に処方される抗ヒスタミン薬、
特に第一世代のポララミン®︎、ペリアクチン®︎は
熱性けいれんの持続時間を長くする可能性があるので注意が必要です。
テオドールDS®︎、テオフィリンDS®︎(気管支拡張薬のテオフィリン等のキサンチン製剤)
気管支炎などに使われる気管支拡張薬のテオフィリン等のキサンチン製剤の
テオドールDS®︎、テオフィリンDS®︎使用も
熱性けいれんの持続時間を長くする可能性があるので注意が必要です。
特に3歳以下の使用には注意が必要です。
また「抗ヒスタミン薬」と「気管支拡張薬テオフィリン」との併用も
状態をより悪化させる可能性あり推奨されません。
熱性けいれん診療ガイドライン(日本小児神経学会)https://minds4.jcqhc.or.jp
最後まで読んで頂きありがとうございます。
参考になると幸いです。ではまた次の記事でお会いしましょう。
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